2005/8/24 水曜日

【akidaiコラム】「減量」とは?

 あなたは,「2週間で10kg痩せろ!」と言われて,できますか?

「できるわけねーよ!」と思った方。そう考えるのが普通です。しかし,こんなことを日常的に繰り返しているアスリート達がいます。今回は,そんなアスリート達が行っている「減量」について,紹介したいと思います。

 「減量」と縁のあるスポーツ選手は限られており,階級制を採用しているボクシング,柔道,レスリングあたりの選手がそれに該当します(他にもあるかもしれません)。自分の体重を階級の制限に合わせるために行います。
 ちなみに,ここで取り上げる「減量」とは,他のスポーツの選手が「ちょっと太り気味だから体重を落として身軽になろう」と考えて行う体重調整とは異なります。それはどちらかというと「ダイエット」になります。「減量」と「ダイエット」の分かりやすい違いは,“リバウンドしてもよいかどうか?”という点。「ダイエット」で一番気をつけるべきことは,リバウンドをしないことです。しかし,「減量」では,リバウンドをしてもOKです。というか,しなければダメなのです。その理由も含めて,「減量」の意義と問題点について,もう少し掘り下げて考えてみたいと思います。

 そもそも何のために減量をするのでしょうか?簡潔に言うと「試合に勝つため」です。では,なぜ減量をすると勝てる(実際のところはそうとも言い切れないのですが・・)のでしょうか?それは,先にあげたボクシング等の格闘技スポーツにおいては,筋力と体格の差が大きく勝負の行方に影響を及ぼすことがあるからです。少しでも下の階級に出場すれば,それだけ自分が有利になるという考え方です。
 減量をすると食事による栄養の摂取が不足するため,当然体力は急激に低下します。ダイエットとは違って元々引き締まった体の人がするわけですから,計量当日になると立っているのもしんどい,という状態になります。もしこのような状態で計量を済ませた後,そのまま試合に臨むと大変なことになります。したがって,選手は計量後,必ず速やかに水分と食事を取り,体重をある程度元に戻します。現在は昔と違って前日計量が主流ですので,こうしたことが可能です。そして,基本的に減量しても「骨格」までは変わらないですから,一晩寝て試合当日には,減量前とあまり変わらない体格で試合に臨むことができるというわけです。

 では,こんなことをして弊害はないのでしょうか?・・当然あります。無理な減量は人を死に至らしめます。私の現役時代に,知っている限りで2人が栄養失調と無理な運動で命を落としました。とりわけ育ち盛りの中学,高校時代にこんなことを繰り返していたら,身体的な成長に支障をきたすことは明らかです。おそらく科学的にも実証されていると思います。また,最近はほとんどの選手が減量を行っているため,結局はそれほど有利にならない,といった傾向もあります。

 そこまでして,減量はやるべきものなのでしょうか?
 正直,私は高校生以下の選手の減量には否定的です。しかし,一概に「すべきでない」と断言するにも抵抗があります。なぜなら先ほど書いた通り,減量は「勝負に勝つ」ことを目的に行うものであり,以前に自分のコラムでも書きましたが,私はやるからには勝利を目指すべきだと考えているからです。本人が望むならば,それを尊重させてあげたい気持ちもあります。問題なのは,指導者が自分の名誉のため無理やりさせているケース。これは絶対に認めることはできません。子供が断れないのをいいことに,自分の思い通りに選手を操ろうとする最低の指導者と言わざるを得ません。残念ながら,こうした考えを持った指導者が未だに多数存在します。

 指導者や現場の方々には,勝たせるために減量を奨励するのではなく,減量の危険性をしっかり認識して子供たちに伝え,そしてうまく減量をセーブしてあげることを,改めて意識していただきたいと切に願います。子供たちの将来のために。

コメント (0)

この記事にはまだコメントがついていません。

コメント RSS

現在コメントフォームは利用できません。